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北原 保子*; 猪瀬 明*; 槇石 規子*; 名越 正泰*
no journal, ,
優れた特性を有する電池材料や磁石材料といった先端機能材料を設計するためには、特性発現メカニズムを解き明かし、その本質を定量的に評価することが必須である。これらの材料評価において、化学分析および物理解析技術は従来から威力を発揮してきた。しかし、冒頭で述べた目的のためにはこれらの技術をさらに展開させる必要がある。我々は、走査電子顕微鏡(SEM), 走査透過電子顕微鏡(STEM), 電子線マイクロアナライザー(EPMA)などの物理解析技術を駆使して、特性に直結する情報を可視化する、あるいは特性発現に寄与する情報を抽出し定量的に評価する、等を推進している。本報告では我々が取組んでいる最近の事例を紹介する。
日高 昭秀
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故時に環境中に放出された、不溶性放射性セシウム粒子(Type A)の生成過程を推定することは、事故進展を解明する上で有用である。著者は、Type Aの起源として3号機のHEPAフィルタ(グラスファイバ: GF)が水素爆発時に溶融・微粒化して生成した可能性を指摘した。その場合、活性炭フィルタやGFのバインダ中の炭素がType A粒子とともに存在する可能性が高い。しかしながら、従来の観測では、粒子の固定用にカーボンテープを用いてきたため、炭素の同定が難しかった。本研究では、電子線マイクロアナライザ(EPMA)とカーボンテープ以外の試料台を用いて炭素の観測を行った。その結果、Type Aの炭素量は、バインダ起源と考えられるGFの炭素量と類似していた。これは、著者が主張する仮説と矛盾しない。炭素の情報と他の構成元素との関係を注視しつつ、生成過程の更なる解明に取り組んでいく。